2020アニメ総括

2021冬アニメも佳境に差し掛かってるけど、ようやく時間ができたのでぼちぼち振り返っていきますか…!!!
去年のTVアニメ10選は以下の通り。
ちなみに総視聴本数は約60本、量的にも結構満足しています。

観た中からいくつかピックアップして感想を書きました。


まずは劇場版の方から

メイドインアビス -深き魂の黎明-
原作既読だったけど文句のつけようが無い。現代のアニメシーンでスタンダードな絵柄で原作ものやらせたらキネマシトラスがトップなのだと実感した。

少女☆歌劇 レヴュースタァライト ロンド・ロンド・ロンド
2018年に放送された『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』、そこに99回聖翔祭の再演を繰り返す大場ななの視点から新たな光を当てて描いているのが本作である。それは『レヴュースタァライト』という作品が持つ円環構造を象徴するような「ロンド・ロンド・ロンド」という副題にも表れている。総集編をうたいつつも、新規カットを交えたかなり大胆な再編集が行われていた。余談だが、毎話登場した舞台にそれぞれ新しく名前が付けられるなど小ネタだけでも楽しめる。

さて、TVアニメ版『レヴュースタァライト』は戯曲『スタァライト』の悲劇の結末をいかにして回避するかという目的意識で駆動していました。
一方、舞台少女たちはある意味において「舞台に生かされている」、つまり与えられた脚本を演じることによって舞台少女という役割は完遂される。
ここに、『レヴュースタァライト』という物語の目的と、舞台少女なる存在の間には齟齬が生じている。原典の定める所与の筋書きを離れたことで必然的に迎える舞台少女としての「死」をラストの新規描写は言っているのだと思う。

そしてこの「スタァライト」の結末の改変は、本来同じ舞台を3年続けて演じるはずだった聖翔祭の文脈とも重なる。ショッキングなラストシーンが第100回聖翔祭でのことだったも、そういうことだ。「舞台少女の死」という現象は、『レヴュースタァライト』が持つ多重的な円環構造のもとで多様に解釈される。

以上を踏まえると、完全新作劇場版は「悲劇は回避したはいい。ただ、そこに副作用は無かったか」「円環構造を脱出した先に何が待っているのか」という問題意識でやってくれると予感している。これは『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』という作品にとって非常に本質的な問いだと思う。

羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来
言うまでもないが主人公シャオヘイの強力な空間系能力は、人類文明が行う環境開発に対するカウンターパートになっている。そのことを踏まえると、シャオヘイの能力を奪い、都市の侵略を試みたフーシーが敗れるという本作の筋書きも、「人間社会への復讐は失敗し、共生、棲み分けという結末が選ばれた」というだけではなく、所与の世界を恣意的に操作する行為への警鐘として理解される。したがって領界という強大な力を振りかざす選択をシャオヘイが主体的に棄却することは、上の対応のもとで、我々人間の立場から見ても意味のあるものとなっている。

戦いを終えたフーシーが精霊たちのためにある館ではなく、旅を共にしたムゲンを優先するラストも印象深い。「共同体意識は空間にではなく、経験を通じた生身の繋がりにこそ宿る」という描写であるが、これが本作のステートメントであるといって差し支えないと思う。

あと、この手の環境問題を念頭に置いた作品は往々にして説教臭くなりがちだが、問題意識を能力バトルに翻訳することでそれを回避しているのも見事。


恋する小惑星
デフォルメ調のカットがきらら作品にしては少なく、写実的な画面を追求していたのが印象的だった。その上で部屋の中での遠近や、フェンス越しの青空、ホームレス排除ベンチといった身の回りの構造物でキャラクターの心情などを表現するのがとても巧かった。

オープニングの冒頭。天文と地学という興味の違いがカバンの置かれた位置に表れている
9話Aパート、あおの転校問題が浮上する回。二人と青空の間をフェンスが遮る
同9話Bパート
ホームレス排除ベンチについては、こちらのはばキツさんのブログが詳しい。

foxnumber6.hatenablog.com

これは個人的に好きなキャプ。遠近での心情表現はこの作品において基本的
画面の写実志向に加えて、ほとんどのカットでカメラが固定されているから、それこそ大掛かりな設備がない学生でも撮れそうな映像になっている。この『恋する小惑星』という作品は、人とこの世界(天文,地球etc…)、そして人と人の関わりを、高校の部活動を舞台に「等身大」の目線で描いているわけだから、このような映像に仕上げることには必然性があるわけです。

俺が長年思い描いていたきららアニメの理想的な映像化がこうして実際にお出しされたから嬉しかったな。優等生すぎるという感想はもっともなんだけど、その「優等生的なきららアニメ」が実際に提出されたことには意味があるし、後発のアニメ化タイトルにとっても一つの指標になるんじゃないかな。

ID:INVADED
こういう頭使うアニメ久々に観たね。放送が終わった後で観たんだけど、設定周りは明らかにクリストファー・ノーランの『インセプション』が叩き台になっている。それを舞城節(よく分かってない)に落とし込んだって感じなのかな。

物語の結末も『インセプション』のラストと対置することができる。刀使ノ巫女とかもそうなんだけど、「現実を直視し、容易には解決しない困難も含めて引き受けていく」みたいな主張の作品が好きなんですよね。

22/7
全体を俯瞰すると秋元の存在感が否が応にも目につく。最初から最後まで彼の手のひらの上だったわけだし。虚構としてのエンタメをやっていくぞという彼なりの決意表明だと思ってる。どこまで関わってるのか知らんけど。
あるいは本来、我々受け手には見えないはずの舞台の裏側をアニメで表現したわけだから、芸能界のフィクサーとしてやってきた彼の本音が漏れ出たものと考える向きもあると思う。

単体のアニメとして見た時の茶番感は否めない(これはこのコンテンツが二次ドルではなくAKB,坂道の文脈で捉えられるべきであることの証左でもあると思う)ので、10選に入れるかかなり迷った。ハッピー☆ジェット☆コースターをはじめ個別回は年間を通して繰り返し観るくらいには出色の出来だったので、最終的には10選に入れた。

とある科学の超電磁砲T
なんか3クールくらいやってた気がするけど一応冬クールという扱いで。他のアニメが放送中断・延期する中、無理な編集と再放送を濫用して放送を続けてたのが涙ぐましかった。
アニメでは初めて食蜂さんにスポットライトが当たったわけだけど、上条さんとの因縁とかアニメ勢はどのくらい把握しているのだろうか。あと上条さんと削板軍覇の共闘が見れてよかった。


邪神ちゃんドロップキック’
特別編で一昨年北海道に観光で行ったところがたくさん出てきて良かった。

BNA ビー・エヌ・エー
野球回は面白かったけど、全体としてはネトフリ君相変わらずこういうの好きだねえという印象に落ち着く。


GREAT PRETENDER
脚本はコンフィデンスマンJPの人だけど、ノリは海外ドラマに近い。ネットフリックスは折角海外ドラマの方で豊富なノウハウを持ってるんだから、ジャパニメーションの幻影を追いかけてないで、こういう方向性で行ってもらいたいね。

肝心の内容はと言うと、真実と虚構という対比が縦横無尽に張り巡らされているのが本作の特徴。シナリオの用意されているエアレース、美術品の真作と贋作といった具体的なモチーフに至るまで徹底されている。寧ろ、本作がサスペンスの形式を取っていることと合わせて、物語のディティールの部分に視聴者の目を向かせるように、意図的に仕向けていたと言っていいと思う。

そういった手法が結実するのが第20話のラスト。GREAT PRETENDERという作品がこれまで描いてきたものが、実は物語開始時点の数年前から始まっていた壮大な計画の一貫であったことが明かされるシーンはこの作品のピークといっていいだろう。ここに至るまで本作が用いてきた方法論と真逆の、特大のダイナミズムを用意していたわけだから。これは展開として分かっていても痺れた。

天晴爛漫!
大会が始まると次第にレースの勝敗が後景に退いていったので何となく裏切られた気持ちになった。

魔王学院の不適合者 ~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~
アニメってこんなに自由でいいんだ……と心の底から思わせてくれました。本当にありがとうございます。
「サーシャちゃんとミーシャちゃん一本で行く」「アノスファンユニオン言えるかな?」といったオタクの戯言が結果的にストーリーの核心を突いていたのも面白かった

半沢直樹
楽天のライブドア買収発表会見にスティーブ・ジョブズ風のおっさんがビデオメッセージで登場したときの瞬間最大風速は今年一だったんじゃないかな。 最終回のワチャワチャ感も好きだし最初から最後まで楽しかった。

富豪刑事 Balance:UNLIMITED
SiXTONESのOPがすごい作風にマッチしてたのが良かった。ジャニーズがアニメの主題歌担当するケースあまり記憶にない分、なおのこと新鮮だった。
アクションやコメディに加えて、4話みたいなしっとりした話もできたり、なかなかに器用なアニメだったと思う。父親の消息という謎のおかげで、ストーリー全体にちゃんとメリハリがあったのも良かったな。
スタイリッシュにバカやってくれるのは、どこかお兄様に通じるところがあると感じていたら、星を呼ぶ少女でお兄様が着てたのとそっくりのクソダサスーツが登場したときは笑ってしまった。SAOとかHELLO WORLDみたいなアニプレ大作引き受けてきた人が監督やってるのもそういうことなんですよね。

彼女、お借りします
大仰な言い回しになるけどこの作品、恋愛意至上主義と、世話になってるババアを悲しませたくねえっていう家父長的な価値観が、かなり恣意的な形で混在しているっていうのがねえ……。ここらへん解きほぐすとグロテクスな構造が見えてくると思うんだけど、そういう切り取り方をする作品でも無いと思う。


ストライクウィッチーズ ROAD to BERLIN
終わったんだ……俺の一〇年代が。なんか秋クールの間変にテンション高かったけど長年連れ添ってきたコンテンツに終止符が打たれることの高揚感も合ったと思う。完結おめでとうございます…

ルミナスは固定客ついてる作品をベースに流行りの音楽コンテンツやっていくぞという角川の雑な思いつきの印象が拭えないんだけど、佐伯監督作品のラインで見ると案外行けるんじゃないかと思う。アサルトリリィ面白かったしね。

ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会
現実世界の文脈で自由主義対する不信感が自分の中でくすぶっていた中、すっと受け容れられるような形で「自由であること」の何たるかを描き出してくれたのが嬉しかった。それは自己の内なる声に正直であるということだったり、あるいはラブライブという大会のもたらす大きな文脈と無縁であるのを自ら選択することであったり。

後者についてもっと詳しく言うと、僕はサンシャインの2期に結構熱を入れて観ていました。サンシャインの1期は無印1期の流れを意図的に踏襲している。対し2期は廃校を免れることはできなかったという結果を中心にして、変えようのない現実といかに折り合いをつけるかというリアリズムに立脚した内容になっている。
つまりラブライブ!サンシャイン‼という作品は2期に突入すると、先駆者としての勢いのまま巨大なムーブメントを引き起こした無印に対置される、「持たざる者たち」の物語という性格が明確になる。そこに沼津という田舎舞台に由来する共同体意識が台頭するなど様々なドラマが生まれるのがサンシャインの面白いところだった。
とにかく僕は、サンシャインという作品がリアリズムと向き合ったこと、Aquoursが共同体意識によって支えられていること、廃校というタイムリミットを前にしてストーリーに横たわる切迫感などが、総体として好きだった。

一方で、ラブライブという大会がもたらす大きな物語から解き放たれ、自由であることにも意味がある。そこにもドラマが見出されるというのが、僕にとっての虹ヶ咲だったわけです。半分サンシャインの感想になっちゃったな。

アサルトリリィBOUQUET
“アサルトリリィ"と"BOUQUET"の間にスペースは入らないぜ。
1話時点の感触だとオールドスクール舞台の古めかしい百合アニメって印象が強かったけど、アニメ映像の爽快感とブヒリティがちゃんと確保されてて面白かったね。
エンディング映像はGROWING*が一番好きかな。

キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦
由緒正しい富士見ファンタジア産KADOKAWAアニメ。なろうとはまた違う一〇年代前半に大量供給されたラノベ原作を彷彿とさせる懐かしい雰囲気がありました。はっきり言って記憶を消してもう一度観てもレーベルを言い当てる自信がある。こういう作品を美しいと思える感性は大切にしたいね。
ミスミス隊長愛してる。

くまクマ熊ベアー
面白…くはないんだけど、不思議なくらい負担なく視聴できるので秋アニメの中でも割とお気に入りだった。2期も楽しみや

One Room サードシーズン
御乃梨と妹の後日譚が見れて良かった。1話ずつしかなかったのは不満だけど

ゴールデンカムイ(3期)
 樺太編入ってから今までの下地もあって物語のスケールが一段と大きくなった。大河にも引けを取らないこのスケール感なんですよね。3期はこれまでで一番楽しんでたと思う。機会を見つけて原作追いつきたい



以下は視聴アニメのリストです。


へやキャン△
Re:ゼロから始める異世界生活 新編集版
BanG Dream! 3rd Season
ネコぱら
恋する小惑星
ダーウィンズゲーム
痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。
ハイキュー!! TO THE TOP
とある科学の超電磁砲T
22/7
マギアレコード
ランウェイで笑って
映像研には手を出すな!
ID:INVADED
虚構推理
SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!!


BNA ビー・エヌ・エー
イエスタデイをうたって
かくしごと
プリンセスコネクト!Re:Dive
乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…
邪神ちゃんドロップキック’
八男って、それはないでしょう!
本好きの下剋上 司書になるためには手段を選んでいられません 第二部
とある科学の超電磁砲T(第2クール)


Lapis Re:LiGHTs
Re:ゼロから始める異世界生活 2ndシーズン
うまよん
ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld -THE LAST SEASON-
デカダンス
ド級編隊エグゼロス
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完
天晴爛漫!
彼女、お借りします
富豪刑事 Balance:UNLIMITED
放課後ていぼう日誌
魔王学院の不適合者 ~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~


くまクマ熊ベアー
NOBLESSE -ノブレス-
ストライクウィッチーズ ROAD to BERLIN
キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦
ひぐらしのなく頃に 業
アサルトリリィBOUQUET
安達としまむら
ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-
魔女の旅々
トニカクカワイイ
呪術廻戦
ハイキュー!! TO THE TOP(第2クール)
ご注文はうさぎですか?BLOOM
ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会
戦翼のシグルドリーヴァ
神様になった日
魔法科高校の劣等生 来訪者編
体操ザムライ
いわかける!- Sport Climbing Girls -
無能なナナ
まえせつ!
おちこぼれフルーツタルト
ゴールデンカムイ(3期)
One Room サードシーズン
レヱル・ロマネスク

映画
劇場版「Fate/stay night [Heaven’s Feel]」Ⅲ.spring song
劇場版 SHIROBAKO
メイドインアビス -深き魂の黎明-
劇場版 ハイスクール・フリート
少女☆歌劇 レヴュースタァライト ロンド・ロンド・ロンド
鬼滅の刃 無限列車編
羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来

こっちは女10選